過程と結果②


営業職に従事する人にとっての過程とは活動量のことです。年度の目標から逆算して、その月に達成するべき目標を決定します。更に週ごとの目標を設定したら、一日に何件訪問して何人と面談するか、自ずと数字が出てきますよね。活動しなくてはいけない数字を毎日毎日こなしていく事こそが過程です。

営業職に従事する人にとっての結果とは、達成するべき売上もしくは販売件数です。会社は毎年毎年、決算期に成績表を作ります。今年はこんな成績を残したい、という会社の目標売上を作ることが結果です。もちろん、そのために毎月の目標があり、毎月結果を追いかけます。

多くの管理職者は、営業は結果を出せばいいのだと口にされます。ところが、結果に至るプロセスを無視して「結果、結果!」と煽っている感も否めません。結果を出すためには、営業スキルに磨きをかけて、人間心理を勉強し、商品知識で武装して、トークに関するたくさんを学ぶ必要があります。とても奥の深い仕事です。

例えば、毎日3件の成約-月間60件の成約-という目標を掲げて活動している営業マンがいるとします。この営業マンは、先に述べたような色々なスキルを身につけ、ほんの僅かな労力と時間で目標を達成できる力を身につけているとします。

ここで、結果に重きを置いてしまうと、つまり60件達成したら任務完了!とい事になってしまうと、この時点でこの営業マンは営業マンではなく、営業ロボットになってしまいます。そして、会社にとっては2つの大きな損をすることになってしまいます。

ひとつは、もし、この営業マンが活動量に重きを置いて仕事に取り組んでくれたなら、ひょっとしたら月間150件の成果を会社にもたらしてくれるかもしれない、という損。

もうひとつは、どんなに頑張っても成約率100%という結果を出せる人などいません。仮に成約率が30%という猛者も、70%の空振りをしているわけですが、この空振りの活動にこそ「種まき」という大事な要素が込められているのです。会社名と自らの名前を名乗り、こういう商品を紹介しているんです!と歩き回り宣伝することが、会社にとってはとてもありがたい活動なのです。この宣伝活動を失うという損が2つ目の損。

これらを考えると、営業職に従事する人に期待するのは結果よりも過程である、と結論付けられそうですね。

結果は取りに行くものではありません。活動という過程を経て出てくるものです。追いかけるものではなく、緻密な計画と戦略の上に成り立つ活動の後に付いてくるものです。

また、会社や営業部署の責任者は、営業そのものをシステム化し、どんな営業マンでも同じ活動ができる環境を作る必要があります。その活動をまじめにコツコツ継続していくことで、結果に結びつく戦略を立てる必要があるのです。

営業マンの結果が出ないのは、営業マンの責任ではなく、仕組みや戦略を立てる管理者の責任なのです。

我が社の結論:営業は結果より過程にこだわれ!